剣道は正々堂々と試合してほしいものです。
審判も規則の運用・反則については厳しくしてほしいもの。
「審判の批判をするものは剣道をやる資格がない」と以前言われたことがあります。
また、ある全国規模の審判をしたときには、
「全てカメラで撮られていると思って審判しなさい。」
とも言われました。
剣道では審判は絶対のものですから、それだけ責任があるということです。
しかし、速いスピードの中での一瞬、当たった外れたの話でした。
ルールの運用・反則の適用に関してはそうであってはなりません。
6月5日(日) 女子の全国一番を決める試合の岐阜県予選がありました。
岐阜県剣道連盟ホームページに結果が載せられていました。
決勝は高校生と一般の組み合わせ。
一般の方は過去に全国準優勝あいたこともある強豪。
高校生頑張ったなあ。
と思っていました。
動画もツイッターから貼り付けられていました。
6月5日(日)に全日本女子剣道選手権延長三回、水入り後の勝負が決まる場面だそうだ。
以下岐阜県剣道連盟ホームページより引用
決勝戦は、竹村選手(最年長の33歳)と樋口選手(高校生の18歳)との対決で、延長3回で
水入りとなり、その後の再試合で見事な「引き面」が決まり優勝。
引用終わり。
となっているが、
「おかしいなあ。全然見事じゃない。むしろ反則2回やっている。」
というのが正直な感想。
同じ日、私は別の会場で小学生から高校生までの試合審判をしていました。
小・中・高生にルールの説明で、
「守りながらくっついたら反則ですよ」
と説明があったはず。
ひょっとしたら、全日本予選は暫定ルールの対象外なのかと思いました。
しかし、どうもそうではなく暫定ルールで行われた模様。
全日本剣道連盟の動画を見てほしい。
この動画の8分30秒を見て下さい。
「意図的な時間空費や防御姿勢での勝負の回避により、相手に接近するような行為は規則第1条に法り反則を適用します。」
また、6分45秒からは、
「相互に分かれようとしている途中に打突する行為は反則となることがある。」
さて、全日本予選決勝の動画に戻ります。
竹村選手は樋口選手が攻め入ろうとするところへ、左拳を上げ竹刀の裏で樋口選手の竹刀を押さえ込むように接近しています。
ここまでは一連の流れで行われており、接近したとき樋口選手は正しい鍔迫り合いの姿勢を取ろうと手元を下ろしています。
竹村選手は竹刀を裏にしたたまま。
竹村選手は正しい鍔迫り合いの姿勢になろうとしません(表で竹刀を合わせようとしていない)。
樋口選手が鍔迫りを解消しようと一歩下がり二歩目下がろうとするタイミングで竹村選手は引き面を打ちました。
どのくらいの時間感覚かというと、
樋口選手、攻めようとする(一歩)。
竹村選手、左拳上げ防御姿勢をとり竹刀裏で相手の竹刀を押さえ込むように接近(二歩)。
裏で合わせたまま、樋口選手、手元を下ろす。ここまでで一呼吸。
樋口選手間合いを切ろうと一歩下がる。
竹村は下がらない。ここまでで二呼吸。
樋口選手が二歩目下がろうとする。
竹村選手そのタイミングに合わせて引き面を打つ。ここで三呼吸。
こんな感じでした。
竹村選手は、わずか6秒間で3つの反則になるかもしれない行為をしています。
1,勝負を避け、防御姿勢で相手に接近する(暫定ルール)。
2,正しい鍔迫り合いをしようとしていない。竹刀の裏交差の解消をしていない。そもそも裏交差に持ち込んだのは竹村選手。
3,相手が鍔迫り合いを解消しようとした時に引き技を打っている。鍔迫り合いになった瞬間に出した技ではない。接触して三呼吸めくらい。相互に分かれようとしている途中での打突は一本にはならない。反則になり得る。(暫定ルール)
そもそも、一本になった引き面それ自体が反則行為なのです。
そもそも、引き技については、技を出した直後、鍔迫り合いになった直後に打った技が有効になるのです。
打つ気のない防御姿勢から接近した場面、正しい鍔迫りをする気のない状態からの引き技は想定されていないのです。
こんな反則をしながら打った引き面を、「見事な引き面」という岐阜県剣道連盟にはびっくりしています。
6月25日(土)に岐阜地区伝達講習会があります。
疑問が残らないよう、しっかり聞いてこようと思います。