剣道 新型コロナウイルス感染症が収束するまでの暫定的な試合審判法 思うところ もう少し続きます

前回からの続きです。

以前、中体連ルールで中学生の三所隠しが反則になりました。
「左こぶしを上げ、面とコテと右胴を同時に隠す動作は反則」というものです。

中体連主催の試合限定のルールです。
普段中体連ルールで審判をしていない方は、全く反則を取れません。
ひょっとしたら知りません。
中学生の試合でも中体連ルールを適用しない試合では、「三所隠し」のみで即反則はありません。

左胴(逆胴)を躊躇なく一本にとれる方が少なくて、がら空きの左胴に逆胴を決めたにもかかわらず、旗が上がらず引き分けにされてしまったり、当たったかどうかよくわからないような技で敗戦になってしまうケースをよく見かけました。

胴に関しては、一本にとらない、一本にとれない先生方が多いように感じます。
「打てない技はとれない」とも言われます。
胴の打てる先生が少ないのです。

私は胴には思い入れがありまして、試合審判をしているとき、胴は一本に上げます。
もちろん、面やコテと同じ基準で一本としているだけです。

見逃す。
これ結構みんなやるんです。
試合開始早々の技。
すれ違いざまの引き技。
有名選手・優勝候補と対戦する無名選手の思いがけない技。
場外・竹刀落とし以外の反則行為。

10年ほど前でしょうか、全日本女子学生剣道優勝大会(団体戦)の審判をやったことがありますが、そのときのことです。
たしか、鹿屋体育大と東京農大の試合でした。

先鋒戦でした。私は副審。
鹿屋体育大の先鋒がやたらと、三所隠しをやるのです。
お互い触刃の間から打ち間へと入ろうとするとき、相手が攻めて間合いを詰めようとするとき、相手が打とうとするとき、鍔迫り合いで相手が何か仕掛けようとするとき。
とにかく、すぐに三所隠し。

見るに見かねて主審がやめをかけ、
「三所隠しが多すぎるから時間空費の反則をとります。」
副審二人とも
「はい。」

序盤に、鹿屋体育大の先鋒に反則をとりました。
おそらく、大学の試合では「三所隠し」の反則はとられないだろうと高をくくっていたのでしょう。
その後の試合の展開で、普段の癖で三所隠しをしようとして、途中でいけないと思ったのか、頭上に手を上げる前に止めてしまいました。
東京農大の子がそこに面を決めました。

次鋒以降も普段当たり前に「三所隠し」を多用しているのでしょう。
避けようとして途中でやめ、打たれてしまう。
鹿屋体育大は優勝候補の一つでしたが、東京農大に敗れてしまいました。

この団体試合の中で、三所隠しに対して反則をとったのは何回だと思いますか?
・・・・。

先鋒でとった一回だけです。
一回反則をとっただけで、団体全員がガタガタになってしまったのです。

コロナ以前、高校や大学の試合はとてもつまらないものになっていました。
立ち会いでの勝負を避け、避けながら鍔迫り合い。
鍔迫り合いから引き技をだまし打ち。
ほとんどの試合が「打ち合い」ではなく「避け合い」「だまし合い」でした。
両方が避けながら鍔迫り合いになる。
また、鍔迫り合いでも逆に交差させたり、相手の肩に竹刀をかけて打てなくしたり。

時間だけかかって、内容のない剣道でした。
そして、だまし討ちのうまい選手が勝っていく。
インターハイを会場で見たことがありますが、個人戦は特に、上位の試合になるほど眠たくなります。
本当にウトウトしてしまいます。

間合いが詰まってさあこれから・・・、というところでお互いバンザイ。
団体戦は試合時間が決まっているので少し我慢すれば良いですが、個人戦はダメです。
延々避け合いが続きます。

さて、コロナ渦で剣道の試合を成立させるために、全日本剣道連盟は暫定ルールを定めました。
感染のリスクを減らすため、鍔迫り合いの時間をなくすことが一番の狙いでした。
が、それと同時に今までの勝負のあり方を是正しようともしています。
全日本剣道連盟のホームページから引用します。

以下引用

【趣旨】

  1. 主催大会実施にあたっての感染拡大予防ガイドラインの遵守(感染予防)。
  2. 不当な「つば(鍔)競り合い」および意図的な「時間空費」や「防御姿勢による接近する行為」の解決。
  • これまでの試合は試合時間の約半分以上が、「つば(鍔)競り合い」に費やされていると言われている。これを改めて、立ち会いの間合からの攻め合いを中心とした試合展開へ移行する。
  • 剣道の試合にとって「勝負」の要素は大事であるが、姑息な勝負の仕方を是正し、反則ギリギリの勝負ではなく真っ向から勝負をする態度を養う。
  • 「つば(鍔)競り合い」については試合者の態度や心の問題が大きく影響し、規則だけで裁くのは困難である。試合者と審判員が共通に理解し、一体となって、良い試合の場を醸成する。

引用終わり

姑息な勝負、反則ギリギリの勝負ではなく、真っ向勝負を目指したのです。
今回の全日本女子剣道選手権、岐阜県予選決勝においては、真っ向勝負ではなく、「姑息」であり、「反則ギリギリ」ではなく「反則そのもの」の技で勝負がつきました。
私にはそう見えました。

恐らく、序盤から防御姿勢による接近を見逃してしまったために、途中から反則にはとれなくなってしまったものと思われます。(見ていないのでわかりません)

理事長が、
「竹村のは手が肩より上がっていないから防御姿勢ではない。」
と言われたことからもわかるように、
実際には肩より手が上がっていたにもかかわらず、上がっていないと思い込んでしまって、反則をとることが出来なかったのではないでしょうか。

いずれにしても、全日本剣道連盟の趣旨は、
「これまでの姑息な剣道から、真っ向勝負の剣道へと変えていきたい」
ということなのです。

岐阜県だけがせこい剣道を続けることのないよう、全日本剣道連盟の趣旨を理解し、選手・審判員がともに理解し、厳しく取り組んでいく必要を感じました。

いよいよ今週末、中体連の全国大会予選が始まります。
まずは市大会、翌週には地区大会と試合が続きます。
子供たちの努力が報われるよう、適正公平に審判を務めます。

選手の皆さんは公明正大に試合に取り組んで下さい。

心から応援します。

講習会で聞いてきた 新型コロナウイルス感染症が収束するまでの暫定的な試合審判法 令和4年 全日本女子剣道選手権 岐阜県予選決勝

前回、不可解な全日本女子剣道選手権、岐阜県予選、決勝戦について私の見解を書きました。
そして、岐阜地区剣道伝達講習会で聞いてきます、と終わりました。
6月25日土曜日、岐阜地区剣道伝達講習会に参加して実際聞いてきました。

審判講習の時間に手を上げて聞きました。

まずは確認から、


「左こぶしを上げ防御姿勢で、さらに逆交差になるよう自分の竹刀を相手の竹刀に絡め接近したらどうなりますか?」

理事長
「それは反則。」


「接近したあと、相手は正しい鍔迫り合いになろうと、腰の位置に左こぶしを下ろしているのに、接近した方は竹刀を裏のままにしています。それに対し相手は間を切ろうと一歩下がり、二歩めを下がろうとするところに、合わせて引き面を打ったらどうなりますか?」

理事長
「それも反則。」

竹村選手の行為は防御姿勢での接近も、相手が二歩め下がるのに合わせた引き面を打ったことも反則である、という確認が取れました。

ただし、私が聞いた時には、竹村さんの名前は出していませんでした。

「実は先ほどの事例は、6月5日日曜日に行われた、全日本女子剣道選手権岐阜県予選の決勝のことなのですが。」
と切り出すと、

理事長
「竹村のはあれは面有りだ。竹村の防御姿勢は防御じゃない。左手が肩より下だから防御姿勢にはならない。」

とのこと。
そこで私は、確認の意味で、
「その規定は条文のどこに書いてありますか?
 また、左肩よりも上がっていれば反則ですか?」
と聞いておきました。


規定がどこにあるかの回答はもらえませんでしたが、
「手が肩より上がっていれば反則だ。」
という回答でした。

その場で動画を見せて確認を取る方法もありましたが、時間が押していることもあったので、そこで終わりました。

別の講師は、
「あれは一本に見えたがなあ。」
といってみえました。

さて、もう一度動画を確認します。

岐阜県剣道連盟 令和4年 全日本女子剣道選手権 岐阜県予選 決勝

明らかに竹村選手が防御姿勢で接近するとき、肩より上にこぶしが上がっています。
頭のてっぺんに届くくらい上がっています。

結論、
竹村選手は、接近したところですでに反則。(理事長の説明をそのまま適用)

そして、一呼吸の間に引き面を打ったといわれましたが、相手が一歩下がり二歩めのタイミングに合わせ、狙いすましたように引き面を打っています。

ここでも反則。(理事長の説明をそのまま適用)
審判にこれが一呼吸以内に見えたのであれば、明らかに「一呼吸の捉え方」の判断ミス。

接近時の反則が見逃され、反則であるはずの引き面が一本となり、全日本女子剣道選手権の岐阜県代表が決定しました。実に不可解な結果です。
樋口選手が首をひねるのも無理はありません。

当初試合時間では勝負がつかず、延長を3回も繰り返し、水入り後のことだと聞いています。
この動画はわずか8秒ですが2回の反則行為が認められます。
試合時間全体を通して厳密に見直したら、大変な数の反則を竹村選手は犯しているのではないしょうか。

また、
竹村選手だから反則を取らなかった、あるいは取れなかったのではないかと、穿った見方も出てきます。また、竹村選手の打った反則引き面を審判が一本にしてしまったのも、竹村選手だからなのではないでしょうか。
若い頃に警察官と試合をして、こんなあほらしい審判をされるなら剣道をやめてしまおうか、というような裁定を何度も経験した身としては、そんな考えもよぎります。

私の場合は、剣道はやめず、試合をやめる選択をしました。

剣道の試合では審判は絶対です。
審判をしていて、様々な場面を瞬間で判断することが難しいのは私もわかります。
間違いはあるものです。ですから自分の判断に対して厳格に自らを正す必要があります。

今は誰でも動画を撮ることが出来る時代になりました。
観客は証拠を持っているのです。
判定が覆ることはありませんが、謙虚に間違いは間違いと認め、審判自身が反省しなければこれからの剣道は衰退していくことでしょう。

私たちも審判をすることがありますので、この点では身を引き締めなければなりません。

この証拠動画は岐阜県剣道連盟が公式ツイッターに上げたものです。
最初についたコメントにも、
「誰も合議をかけなかったのかな?」
とありますが、なかったのでしょうね。

新型コロナウイルス感染症が収束するまでの暫定的な試合審判法? 令和22年全日本女子剣道選手権 岐阜県予選 決勝についての考察

剣道は正々堂々と試合してほしいものです。
審判も規則の運用・反則については厳しくしてほしいもの。

「審判の批判をするものは剣道をやる資格がない」と以前言われたことがあります。
また、ある全国規模の審判をしたときには、
「全てカメラで撮られていると思って審判しなさい。」
とも言われました。

剣道では審判は絶対のものですから、それだけ責任があるということです。
しかし、速いスピードの中での一瞬、当たった外れたの話でした。

ルールの運用・反則の適用に関してはそうであってはなりません。
6月5日(日) 女子の全国一番を決める試合の岐阜県予選がありました。

岐阜県剣道連盟ホームページに結果が載せられていました。
決勝は高校生と一般の組み合わせ。
一般の方は過去に全国準優勝あいたこともある強豪。
高校生頑張ったなあ。
と思っていました。

動画もツイッターから貼り付けられていました。

6月5日(日)に全日本女子剣道選手権延長三回、水入り後の勝負が決まる場面だそうだ。
以下岐阜県剣道連盟ホームページより引用

決勝戦は、竹村選手(最年長の33歳)と樋口選手(高校生の18歳)との対決で、延長3回で
水入りとなり、その後の再試合で見事な「引き面」が決まり優勝。

引用終わり。

となっているが、
「おかしいなあ。全然見事じゃない。むしろ反則2回やっている。」
というのが正直な感想。

同じ日、私は別の会場で小学生から高校生までの試合審判をしていました。
小・中・高生にルールの説明で、
「守りながらくっついたら反則ですよ」
と説明があったはず。

ひょっとしたら、全日本予選は暫定ルールの対象外なのかと思いました。
しかし、どうもそうではなく暫定ルールで行われた模様。

全日本剣道連盟の動画を見てほしい。

この動画の8分30秒を見て下さい。
「意図的な時間空費や防御姿勢での勝負の回避により、相手に接近するような行為は規則第1条に法り反則を適用します。」

また、6分45秒からは、
「相互に分かれようとしている途中に打突する行為は反則となることがある。」

さて、全日本予選決勝の動画に戻ります。
竹村選手は樋口選手が攻め入ろうとするところへ、左拳を上げ竹刀の裏で樋口選手の竹刀を押さえ込むように接近しています。
ここまでは一連の流れで行われており、接近したとき樋口選手は正しい鍔迫り合いの姿勢を取ろうと手元を下ろしています。
竹村選手は竹刀を裏にしたたまま。
竹村選手は正しい鍔迫り合いの姿勢になろうとしません(表で竹刀を合わせようとしていない)。
樋口選手が鍔迫りを解消しようと一歩下がり二歩目下がろうとするタイミングで竹村選手は引き面を打ちました。

どのくらいの時間感覚かというと、
樋口選手、攻めようとする(一歩)。
竹村選手、左拳上げ防御姿勢をとり竹刀裏で相手の竹刀を押さえ込むように接近(二歩)。
裏で合わせたまま、樋口選手、手元を下ろす。ここまでで一呼吸。

樋口選手間合いを切ろうと一歩下がる。
竹村は下がらない。ここまでで二呼吸。

樋口選手が二歩目下がろうとする。
竹村選手そのタイミングに合わせて引き面を打つ。ここで三呼吸。

こんな感じでした。

竹村選手は、わずか6秒間で3つの反則になるかもしれない行為をしています。
1,勝負を避け、防御姿勢で相手に接近する(暫定ルール)。
2,正しい鍔迫り合いをしようとしていない。竹刀の裏交差の解消をしていない。そもそも裏交差に持ち込んだのは竹村選手。
3,相手が鍔迫り合いを解消しようとした時に引き技を打っている。鍔迫り合いになった瞬間に出した技ではない。接触して三呼吸めくらい。相互に分かれようとしている途中での打突は一本にはならない。反則になり得る。(暫定ルール)
そもそも、一本になった引き面それ自体が反則行為なのです。

そもそも、引き技については、技を出した直後、鍔迫り合いになった直後に打った技が有効になるのです。
打つ気のない防御姿勢から接近した場面、正しい鍔迫りをする気のない状態からの引き技は想定されていないのです。

こんな反則をしながら打った引き面を、「見事な引き面」という岐阜県剣道連盟にはびっくりしています。

6月25日(土)に岐阜地区伝達講習会があります。
疑問が残らないよう、しっかり聞いてこようと思います。

剣道 最近の自分の稽古10 小手の打ち方2

小手の打ち方 その2

 

前回は、相手の剣先を上から越える方法でした。
今回は、相手の竹刀を下からくぐらせての小手を解説します。

 

その前に少し攻めのことを書きます。

 

「攻め」

攻めとはなんでしょう?

 

色々な人が攻めについて書いてみえます。

例えば、

攻めは「構え」だ。

攻めは「イメージ」だ。

 

私は子供達に「攻め」を説明するときに、

「自分が主人公になって相手を打つために、
僕がこうしたら相手はこうするから、こうやって打つ。
ということを考えてすることだよ。」

と説明しています。

「だから、相手が○○したらこう打つなんていうのは攻めじゃないよ。
自分がこうしたら、からスタートして考えるよ。」

なのです。「攻め」の言葉としてのイメージはこのようになります。

 

では、実際には「攻め」はどんなことをするのかです。

 

「攻め」の目的の一つは相手に「四戒」を起こさせることです。

「四戒」とは?

驚・懼・疑・惑、という心の中に起こしてはいけない四つの心の状態です。
順に説明すると、

1、驚(きょう)
驚くこと。
予想しない相手の動きに驚くと、混乱し適切な判断力を失い、時には茫然自失するときもあります。

2、懼(く)
恐れること。
恐怖の気持ちが生まれると、精神の活動が止まって、ひどいときには手足が震え、自由に動けなくなります。

3、疑(ぎ)
疑うこと。
疑う気持ちが起きると、相手を見定めることができず、自分の心にも決断が着かず、判断・動作ができなくなります。

4、惑(わく)
惑うこと。
惑うときは、精神が混乱して正確で敏速な判断や、即座の動作ができなくなります。

 

つまり、攻めによって相手にこれらの心の状態をおこすことです。

 

もう一つの目的は、相手に「虚」の状態を創ることです。
相手に「虚」の状態を起こさせ、それに対し「実」で打ちます。
「虚」とは、頭では自分の体の各部に命令していないのに、体が勝手に反応している状態です。

 

攻めをからめた小手を考えてみます。

初めに、上から落とす小手の場合。
一つの打ち方として、相手の竹刀を表から押さえ、
左拳を落とすことで自分の剣先を上に抜き、
相手の剣先が戻ろうとするところへ、右手を落として小手を打つ。

相手には押さえられた力に対して、戻そうとする力が働き、
それが本来の位置よりも行き過ぎてしまったところを打ちます。

2番目に、よく似た攻め口として、同じように表から押さえ、中心を取り、中心を取ったまま面を打つ。
3番目、2の要領で表から剣先を押さえ、そのまま面を打つ時、相手が面を避けようと手元が上がるところに、小手を落とす。
4番目、2の要領で面を打つ時、手元が上がるところに右胴を打つ。

全く同じ表から押さえてからの技が、多種多様にあるので同じ攻め口だからといって相手は予測が付かなくなります。
こうしたときに、相手は同じ攻めからの変化に「驚き」、「惑う」のです。

 

また、大きく押さえるだけでなく、竹刀の厚み分押さえることで相手に気づかれず押さえた状態を作り、左拳を落とすことで緩い押さえを解くと、相手が気づかない(意識しない程度)戻りが生まれます(相手の虚)。
「虚」の戻りに対して、こちらは「実」で右手を落とし小手を打ちます。

 

さて、「右手で竹刀を引っ張り上げて打つ」ことをしなくなると、とても打ちが速くなります。
「1拍子」の打ちに近くなります。

「1拍子」での打ちを実現するには、一つは「落として斬る」こと。

そして、もう一つ。
円運動で「斬る」ことです。

円の動きには逆方向への方向転換がありません。
ぐるっと回って打つ方向を変えても1拍子です。
気をつけることは、「刃筋」です。

円運動を利用して落として斬るのです。
そのとき「刃筋」を通す。

 

今回の下からの小手ですが、詳しく順を追って書いていきます。

お互いに中段の構えをとり、遠間から蝕刃の間合いへ、表で剣先を合わせます。
ここから一足一刀の間合いに入りますが、大きい足は使いません。
じわりと右足つま先をすべらせて間合いに入ります。
間合いに入っても右足は床に体重を乗せません。

右足が出るのに合わせて、剣先を相手の竹刀の真下に入れ相手から隠すようにします。
相手の竹刀の下に自分の竹刀を隠して、相手の鍔の下側を伺うようにします。

ここからいくつかのパターンに分かれるのですが、

1,相手にとって、こちらの竹刀がみえなくなり面ががら空きに感じ、ここぞと速い面で飛んでくるものがいます。この場合には、あらかじめ面に来る事を予想しているので、出小手または面返し胴を打ちます。
こちらの面をがら空きにして、竹刀を隠してしまうのですから面に自信のあるものであれば、当然の打ちです。

2,相手がそのまま動かない。
なにか、罠があるような気がして警戒して何もできないところです。
ここで、相手の竹刀に自分の竹刀を巻き付けるようにして巻いて小手を打ちます。
注意することは、平打ちにならないこと。
小手を打つときには必ず刃を下に向け刃筋を通して打つことです。

3,こちらの竹刀を押さえる、又は上から叩く、押さえての面を打ってくる。
このときは、相手の竹刀が下向きの動きをするわけですから、下に向かって動き始める時を狙って、こちらは相手の押さえをかわして面に行きます。
相手に逆方向の動きをさせ、そのとき打ちます。
これは、相手の下段に入れたとき以外にも使える攻め口で、相手がこちらの竹刀を押さえに来るとき、払いに来るときに応用できます。

 

小手の打ち方といいながら、「攻め」の説明になりました。

優秀指導者育成講習会に参加しました

平成29年6月3日、岐阜メモリアルセンター剣道場にて、剣道範士 島野泰山先生による、指導者育成講習会が開催されました。

 

その中で、覚えておきたいことばがありましたので、ここに備忘しておきます。

「と、て、が、無し」

これだけを聞くとなんのことだかわかりませんが、攻めと打ちに関する考察になります。

 

島野先生の若き頃、九段範士(名前は失念)の先生から聞いた言葉だそうです。

 

と、

攻め と 打ち

攻めと打ちがばらばら。

これでは二拍子になり避けられてしまう。

 

て、

攻め て 打つ

これは1、5拍子。

これも避けられる。

 

が、

攻め が 打ち

攻めと打ちが一体となり、攻めが効き一本になりやすい。

 

無し

攻めもなく「ここ」というところで無心に出る技。

 

意識してできるのが、がの境地かな。

 

無しの境地は、「不動智」の世界。

 

講習会の最後の地稽古が非常に刺激になりました。

出てよかった。

剣道 最近の自分の稽古10 小手の打ち方1

小手の打ち方 1

前回まで面打ちの解説をしてきました。
今回は小手の打ち方について書いていきます。

 

 

面もそうなのですが、
「打つ」という動作を考えたときに、どんなイメージがありますか?

 

まず面打ちのおさらいです。

 

「上から打て」
これは指導者にいわれた経験のあるかた、多いと思います。
確かに面を打つには上から「打ち下ろす」のが当然であると思われがちです。

 

この指導をされるかたのいいたいことは、
「上から打つ」
ということがいいたいのではありません。

 

中学生や高校生にありがちな、いわゆる「刺し面」はだめだよということ。
あるいは、振りが斜めになっている右手が強いと、どうしても竹刀を右へ引っ張り、右からの打ちになりがちです。

 

それを矯正するための
「上から打て」
なのです。(そうであってほしい)

 

以前、岐阜で講習をされた元全日本選手権優勝者がありました。
中学生を対象に行われた、トップアスリートによる指導の一環だったそうです。

 

そこで、
「面は、面布団を打つ。」
と、かなり深い位置での面布団への打突を指導されたそうです。
かみ砕いていうと、
「物打ちで脳天を打つ。」

 

私の娘は身長140センチ台、小柄です。
講師(185cmほど)の面布団を物打ちでどうやって打つのでしょう?

 

そもそも、面を打つ正しい手の内で、腕を伸ばして40cmの身長差のある面布団に物打ちが当たるのか?

 

少しでも理論的に剣道を考えたことのあるひとなら、不可能なことはわかりそうなことです。
しかし、いつも試合に勝つことばかり考えていると、おかしな方向に剣道が向かってしまう、というよい(悪い)例ですね。

 

娘は、
「私が先生の面を打つのに、先生のいった位置を先生のいったとおりに打つにはどうしたらいいですか?、と質問しようと思ったけど、多分先生無理だからやめた。」
といっていました。

 

「剣道は、剣の理法の修練による人間形成の道」です。
正しい剣道を学ぶと人に対する思いやりが育ちます。

 

逆に、試合にばかりこだわったかたよった剣道をしていると、自分本位で利己的になり正しい剣道を忘れてしまいます。
もちろん、人に対する思いやりの気持ちを持つなんて無理な話でしょう。
いつも人をたたいて勝つことしか考えていないのですから、それも仕方ありません。

 

 

最近では、高校生や大学生・一般の、全国トップレベルの試合がインターネットを通して容易に見ることができます。

 

私もyoutubeを利用して拝見しますが、大会で上位にいく人たちに共通していることがあります。

 

第1に、手元がすぐ上がる(特に左手)こと。
第2は、つばぜり合いから分かれるふりをして、だまして打つのがうまいということです。

 

手元がすぐ上がるのは、打たれたくないから。
本来の剣の理法である、攻め合って我慢して打つことを放棄して、打たれそうならさっさと手を上げて避けにいくのです。
以前は全日本選手権くらいまでの、若い人の試合でしか見ることはありませんでした。
しかし最近では、それを流行らせたひとが八段になり、あろうことか八段戦でも見ることができます。

 

ほんとに、残念です。
この人が勝ってしまうからまたたちが悪い。
連覇してしまったし。
こういう人は影響力が大きいので、もっと剣道について考えて、自分の剣道を見つめ直してほしいものです。
日本の剣道が悪くなってしまいます。

 

「剣道」ではなく「剣道の試合」という別の競技になってきたような気がします。

 

かつて大先生と呼ばれた方々は、どんなに剣道が強くても「試合に勝つ事だけ」に執着されたわけではないように感じます。
もちろん、刀法を絶えず意識されていたことでしょう。
ですから、

 

古い時代、高段者の試合・立会は、相手に打たせず打って勝つ事よりも、
「自分の目指す剣道を体現すること」、
「修行の成果をためすこと」
に重きを置いておられました。

 

よくいわれるように、
「勝って打つ」
を体現しておられたようです。

 

 

話が大きく逸れてしまいました。

話を戻しますと、
「上から打て」についてでした。

 

さて、誠裕館の大塚範士は生前よくいってみえました。
「面は脳天を叩くのではなくて、切っ先で額から切り込むのだ。今の剣道の試合巧者は、試合で一本になりやすいからと面布団を叩けなどといっている。そんなのは面じゃないよ。」

私は道場の子供達に、面を打つときは先革が面縁(面金の廻りの輪と面布団をつないでいる堅い革の部分)に乗るように打つのだと教えています。
大塚範士のいう「額から切り込むのだ。」という位置がここになります。

 

ここに「先革が乗る」ためには少なくとも剣先が一度は面金よりも上がらなくてはいけません。

単純に剣先を面金の高さよりも上げるということを考えたとき、「上から打つ」の教えもあるので、どうしても右手で竹刀を引っ張り上げてしまう事になります。
これが曲者です。

 

剣道の先生方はよく、
「一拍子で打つ。」
といわれます。
私の妻は音大を出てピアノを教えていますが、剣道の先生方がお手本で見せる「一拍子」は全部二拍子だといいます。

 

音楽の指揮者が二拍子を刻むとき、指揮棒は下へおろして上げる動きをします。
剣道でのお手本の一拍子は、竹刀を右手で引っ張り上げて下ろします。
どんなに速くやっても二拍子は二拍子です。

 

右腕で引っ張り上げて右腕で下ろすことは片方の手で逆の動きをします。
上げて下ろす。だから、二拍子になります。

 

片方の手で上げる下げるという二つの動きをするので、スピードをどれだけ速くしてもあまり速くは振れません。
ここで発想の転換をします。
面を打つためには、剣先が面金よりも上がります。
一つの方法は右手で引っ張って剣先を上げる方法。
もう一つは
右手を動かさないで左手を下げる方法があります。
右手を動かさないので左手を下ろせば剣先は上がります。
ここから右手を前に伸ばしていきますと、剣先は下りていきます。
そして面縁に上から乗ります。

 

このときの左手は、構えの位置から一度(数センチ)下ろしたあと、上から柄を押さえたまま、みぞおちまで上げながらのばしていきます。
意識して行わなくても、右手親指を相手ののどに向かって突き出すに従って、自然と前に伸びながら鳩尾の高さに収まります。
右手親指で相手ののどを突くように出すと、自然に小指・薬指・中指が締まる形になります。
上筋が伸び下筋が縮むので手首が利き、強い打ちになります。

 

それぞれの腕が、剣先の上昇(左手)と切り込み(右手)を分担して行うので、逆方向の二つの動きを急速に行う必要はありません。
速く打とうとすれば、左と右のタイミングを極力近づけることでスピードは増します。
逆の動きを片腕でするよりははるかに早いうちができます。
しかも刺し面ではなく、振り幅のある面打ちです。

面打ちのおさらいをすると、以上のようになります。

 

 

さて、本題に入ります。
小手の打ち方です。
小手の場合は面とは違い、竹刀が打つ目標は構えたときの剣先よりも下にあります。
しかし、構えた時の剣先が表(お互いの剣先の左側)で交差しているので、相手の剣先が邪魔になりそのまま下ろしても小手には当たりません。

 

小手を打つためには相手の剣先を、下からくぐるか、上から越える必要があります。

 

まず、相手の剣先を上から越える方法です。

面打ちの時、左手を下に降ろすことで剣先を上げました。
同じように左手を降ろして相手の剣先より上に自分の剣先を持って行きます。
そして、相手の剣先を越えて、右手を落として小手を打ちます。

気持ちは、自分で自分をだますつもりで、
「面を打つ」
と強く念じます。

左を落とし、右も落とす。
小手は両手とも落として打ちます。

小手を打ったあとは竹刀が交錯しないよう、左に剣先を上げ残心を取ります。
小手が外れたら、その場で踏み込みすぐに面を打てるように、後打ちの面をくせにしておくとよいでしょう。

足捌きは、
右のつま先で
「面を打つぞ」
と、そろりと攻め、
足先行しますが手の内は構えたまま、
左手、右手の順で落とすときに、相手の右足を踏むつもりで右足を踏み込みます。

小手打ちの時、姿勢で特に気をつけることは、小手を見るために前屈みにならないこと。
腰から出る事を意識して、上半身をそのままの姿勢で保持します。

 

次は下から相手の竹刀をくぐらせる小手です。

長くなりましたので、次回にまわします。

 

 

剣道 最近の自分の稽古9 当たっても外れても(避けられても)打ち切ること

剣道 最近の自分の稽古9 当たっても外れても(避けられても)打ち切ること

こんな方にお勧めです。

大人になってから剣道を始められたかた。
中年の剣道愛好家のかた。
女性の剣道愛好家のかた。
五十肩の剣道愛好家のかた。
膝が痛い剣道愛好家のかた。
体力に自信がないけど剣道をやりたい、やっているかた。
永く剣道をやりたいかた。

 

当たっても外れても(避けられても)打ち切ること

調子の良いとき、打った後は自然に、踏み込み後の二次跳躍をして抜けています。

もう少し詳しく書いてみます。

 

前回の書き込みを引用しますが、

 

右つま先の攻めで、滑らせるように前に進み、もうこれ以上我慢できない、
というところで

左拳を落としたら、一瞬の差で右手の親指中指でつくった指パッチンの前段階から、
指パッチンをしていきます。
その時の手の使い方は、親指の先端で相手の突きを狙って前に出します。
竹刀が面に当たったら右親指を緩め、返しをつくると冴えがあるように見えます。
左拳は、始動で落とした位置から鳩尾の前に、右手を突き出していくのと
同じタイミングで、上から押さえた形で持っていきます。
以上が面打ちです。

と書きました。
が、足の方を書いていませんでした。

ここからが足になります。

手の動きに関しては解説しました。
足はというと、剣道の熟練度というか、
子供の頃から剣道をやったか、
大人になってから始めたかの差が出ます。

足の方は、実はつま先から出していき前に攻め、
右足を落として(踏み込み)いきます。

この踏み込みなのですが、
多くの方が右膝の先端のポイントを、床に垂直に落としたとき、
踵の付くポイントが、膝先より体側に戻ってしまう方が多く見られます。

左足の位置で面打ちの竹刀到達ポイントは決まるので、
どこまで届くかという観点では、右膝、右踵がどこにあろうと関係ありません。

膝の真下に踵を付く方はかなり多いと思います。
私は右足を着地させる位置は、バランスを崩さない範囲で、
できるだけ相手に近いところが良いのではないかと考えています。

なぜかというと、打った後の体の寄りが、一歩で大きくできるからです。

右足を着いた後の足については、
私が淺川春男範士に教わった方法がよいと思います。

右足を着いたら着いた右足の腿を使って体を上方に持ち上げつつ、
左足を素早く引きつけながら前方に跳躍し、左足から着地し構えの足位置に、
右足も着地させ、送り足で抜けて間合いがキレたと思われるところで振り返ります。

言葉で書くとこのようになりますが、
別のかたの言葉も載せておきます。

いちに会というホームページを主催しておられる、Hideさんの解説を引用させていただきます。

以下引用

 単発の前方への「踏み込み足」は、基本の足型から、
—————————————————————-
1.左足を蹴り出し(一次跳躍)、右足を重心と一緒に前に送りだす
2.右膝を軽く屈曲させた状態で、指の付け根の足底部分から着地
3.右踵の着地に併せて床を踏み締め、右膝上の大腿直筋を使い、左
足を引っ張り込みつつ踏み込んだ反動で軽く跳躍(二次跳躍)
4.左足を「基本の足型」の予定位置に、指の付け根の足底部分から
着地
5.右足を左足に対して「基本の足型」の位置に、指の付け根の足底
部分から着地
—————————————————————-
ここで大切なのは、「踏み込み足」は一段ロケットではないということです。「右足で左足を引っ張り込む」という動作があるため二段ロケットになっています。上記した通り、左足で蹴り出す動作を「一次跳躍」、右足で左足を引っ張り込む動作を「二次跳躍」と名付けました。 したがって「踏み込み足」を指導する際は、ここまでをひとつの動作として教える必要があります。これを怠るとあとあと「蹴り放し」や「左足の遅れ」が深刻な技術的欠点として残ってしまいます。

引用終わり

という解説をしておられます。

 

稽古をしていてよく思うのは、
せっかく面に当たったのに、途中当たらないと思うのか、中途半端に止まってしまう場面がよくあります。
面が逸れたとき、自分でブレーキをかけてしまい、体当たりに成らない場面もよく見かけます。

打突部位に、当たっても当たらなくても、踏み込んだ後の二次跳躍で左足を素早く引き込み、
その勢いで、体当たりをするか、抜けて振り返る。

これを意識してやっています。

それではじめて、

当たっても外れても(避けられても)打ち切ること

ができるのです。

剣道 最近の自分の稽古8 打ったとき左手は鳩尾の前に、右手は親指が相手の突きを突くように指ぱっちんをすること

剣道 最近の自分の稽古8  打ったとき左手は鳩尾の前に、右手は親指が相手の突きを突くように指ぱっちんをすること

こんな方にお勧めです。

大人になってから剣道を始められたかた。
中年の剣道愛好家のかた。
女性の剣道愛好家のかた。
五十肩の剣道愛好家のかた。
膝が痛い剣道愛好家のかた。
体力に自信がないけど剣道をやりたい、やっているかた。
永く剣道をやりたいかた。

 

8,打ったとき左手は鳩尾の前に、右手は親指が相手の突きを突くように指ぱっちんをすること

面を一本打つまでには、

1,すらっと立つこと

2,絶対に下がらないこと

3,必ず自分から先をとって攻めること

4,左足で間を盗み、右足で攻めること

5,左足をしっかり踏み、右足から動くこと

6,右足を滑らせ入り、ぎりぎりまで手の動きを我慢すること

7,打つときにはまず左手を落とすこと

8,打ったとき左手は鳩尾の前に、右手は親指が相手の突きを突くように指ぱっちんをすること

9,当たっても外れても(避けられても)打ち切ること

 

今回は

8,打ったとき左手は鳩尾の前に、右手は親指が相手の突きを突くように指ぱっちんをすること

です。

 

打ったとき左手は鳩尾の前に、右手は親指が相手の突きを突くように指ぱっちんをすること

前回、左手を落としての打ち方には触れました。
もう少し詳しく書いていきます。

前回は、
面を打つのに、左手を落とし、右手で指パッチンして、
右手親指で相手の突きを突くようにします。
左手は落としたところから、
鳩尾の前に上から押さえるように持って行きます。
と書きました。
これが面打ちです。

もう少し詳しく書きます。
まず、あまり振り幅のない、速い面打ちについて書きます。
右足を出して構えのままで、相手の体に剣先が触れる直前まで我慢できるのが理想です。
そこから、左落とし・右親指突きを一瞬の時間差で行います。

左拳を落とす量ですが、私の場合は2~3cmです。
そんなに少し?
と思われるかもしれませんが、
それで十分面金よりも上にあがります。
右手は親指と中指でリングを作り、柄に斜めがけして固定する感じです。
丁度指パッチンをする前の状態です。
左拳を落としたとき、右手首は少し回転しますが、同じ位置をキープしてください。
前後上下に動かないようにします。

左拳を落としたら、一瞬の差で右手の親指中指でつくった指パッチンの前段階から、
指パッチンをしていきます。
その時の手の使い方は、親指の先端で相手の突きを狙って前に出します。
竹刀が面に当たったら右親指を緩め、返しをつくると冴えがあるように見えます。
左拳は、始動で落とした位置から鳩尾の前に、右手を突き出していくのと
同じタイミングで、上から押さえた形で持っていきます。

そして、大切なのが、
面は打突部で竹刀を止めるのではなく、あごまで切るイメージで打ちます。
むしろ「打つ」という言葉のイメージは忘れて、
「切る」という言葉を重視して下さい。
冴えのある、強い打ちになります。

以上が面打ちです。
言葉ではわかりにくいかもしれませんが、挑戦してみてください。

私の場合、面を打つときは全てこの方法で打ちます。
面打ちが非常に楽になりました。

 

この面打ちの変形で、もう少し大きく打つ方法があります。
左拳をやや大きめに落とします。
この時、右手を胴の方向に若干引きつけるようにします。
そこから指パッチンをしていきます。

どんな効果があるかは使ってみて試してみてください。
思わぬ使い方があります。
工夫してみてください。

 

打ったとき左手は鳩尾の前に、
右手は親指が相手の突きを突くように指ぱっちんをすること

の詳しい説明でした。

 

剣道 最近の自分の稽古7 打つときにはまず左手を落とすこと

剣道 最近の自分の稽古7 打つときにはまず左手を落とすこと

こんな方にお勧めです。

大人になってから剣道を始められたかた。
中年の剣道愛好家のかた。
女性の剣道愛好家のかた。
五十肩の剣道愛好家のかた。
膝が痛い剣道愛好家のかた。
体力に自信がないけど剣道をやりたい、やっているかた。
永く剣道をやりたいかた。
今の自分の剣道に行き詰まっているかた。

 

7,打つときにはまず左手を落とすこと

面を一本打つまでには、

1,すらっと立つこと

2,絶対に下がらないこと

3,必ず自分から先をとって攻めること

4,左足で間を盗み、右足で攻めること

5,左足をしっかり踏み、右足から動くこと

6,右足を滑らせ入り、ぎりぎりまで手の動きを我慢すること

7,打つときにはまず左手を落とすこと

8,打ったとき左手は鳩尾の前に、右手は親指が相手の突きを突くように指ぱっちんをすること

9,当たっても外れても(避けられても)打ち切ること

 

今回は、

7,打つときにはまず左手(左拳)を落とすこと

面・小手・胴の共通部分の最後です。

面を打つとき始動するのはどこですか?

面を打つには竹刀が相手の面金より上にあがり、
少なくとも先皮が面縁革までは届かないといけませんね。
身長差のある場合は面金でも良いと思いますが。

中には面布団を打つなんていうお方もいらっしゃいます。
たいていは体格の良い腕力のある、他人への配慮のない方ですね、はい。

うちの道場の大塚範士は存命中によく、
「剣道をやっているやつの中には、面は面布団を叩くというやつがいる。
それも、全日本選手権で優勝したようなやつがいう。
何もわかっとらん。
面は、左手を浮かせて、脳天を叩くんじゃないんだ。
面は額から切り込むんだ。
だから、面というんだよ。」
と嘆いてみえました。

 

中学生対象のトップアスリート招聘スポーツ講座でのこと。

以前かつての全日本選手権優勝者が来たことがありました。
そこで、
「面は面布団を打つ。」
とやったらしいです。

参加したうちの娘が
「145cmしかないのに、どうやって185以上ある人の面布団を打てるんや?
アホか!」
と嘆いていました。

確かに、身長150センチに満たない女子中学生が、
どうやって185センチの面布団を打つのか、是非解説し、実演してほしかったですね。

目の前にそういう子達がいるのに、
この子が自分の面布団をどうやったら打てるのかという発想ができないのですね。
つまり、自分の話していることの間違いに気付いていないわけです。

中学生は優しいので、
そういう難しい質問は、講師を困らせるだけなので、かわいそうだからしなかった、
という落ちがありました。
全日本選手権優勝者、大丈夫?

そういった剣道の訳の分からん人たちが、試合に強いからといって、
知ったかぶりで解説するというのが、非常に浅はかに思えます。

さて、脱線してしまいましたが、
面を打つには竹刀が相手の面金より上にあがり、
少なくとも先皮が面縁革までは届かないといけませんね。
身長差のある場合は面金でも良いと思います。
ということで、面を打つには剣先が面金より上がらなくてはなりません。
そのために、どんな体の使い方をするかなんです。

竹刀は二本の手で持っています。
構えた状態から剣先を上げるには、3通りの方法があります。

思いつくのは、
1,右手で竹刀を引き上げ剣先を上げる方法
2,右手はそのままで、左手を下へ下ろす方法
3,両方を同時にする方法

だと思います。

変形として、
4,両手を前に出す方法
というのもありますね。
両手で上げる方法です。

私は永いこと、右手で引き上げるか両手を前に出していました。
この、7年ほどは左手を落としています。

面を打つのに、左手を落とし、右手で指パッチンして、右手親指で相手の突きを突くようにします。
左手は落としたところから鳩尾の前に上から押さえるように持って行きます。
コレで面を打ちます。
ですから、肩の高さより上には右手は上がりません。

面打ちが非常に楽になりました。

それ以外の利点を次回書きます。

ですから、足がスタートしても構えのまま我慢した後は、
面打ちのスタートの動作としては左手を落とすことです。

7,打つときにはまず左手を落とすこと

です。

 

剣道 最近の自分の稽古6 右足を滑らせ入り、ぎりぎりまで手の動きを我慢すること

剣道 最近の自分の稽古6 右足を滑らせ入り、ぎりぎりまで手の動きを我慢すること

こんな方にお勧めです。

大人になってから剣道を始められたかた。
中年の剣道愛好家のかた。
女性の剣道愛好家のかた。
五十肩の剣道愛好家のかた。
膝が痛い剣道愛好家のかた。
体力に自信がないけど剣道をやりたい、やっているかた。
永く剣道をやりたいかた。
今の自分の剣道に行き詰まっているかた。

右足を滑らせ入り、ぎりぎりまで手の動きを我慢すること

面を一本打つまでには、

1,すらっと立つこと

2,絶対に下がらないこと

3,必ず自分から先をとって攻めること

4,左足で間を盗み、右足で攻めること

5,左足をしっかり踏み、右足から動くこと

6,右足を滑らせ入り、ぎりぎりまで手の動きを我慢すること

7,打つときにはまず左手を落とすこと

8,打ったとき左手は鳩尾の前に、右手は親指が相手の突きを突くように指ぱっちんをすること

9,当たっても外れても(避けられても)打ち切ること

 

今回は6です。

「右足を滑らせ入り、ぎりぎりまで手の動きを我慢すること」

さて、いよいよ打つばっかりになってきました。
しかし、まだ打ちません。

今回は、前回の続きで右足を滑らせて入りますが、
「手はギリギリまで動かさないよ」
ということです。

コレが実はすごく大事なことなのです。
前回は足の使い方だけ書きました。
じゃあ、その時手は何をしているのか?
どうしているのでしょうか。
実は基本的には何もしていません。
構えているだけです。

竹刀の動きで相手の「虚」を造ることもありますが、
基本何もしていません。

なぜか。
「蛇ににらまれた蛙」という言葉がありますが、どんな状況か分かりますか?
蛇が大好物の蛙を見つけたとき、蛙もこちらに気付いていた場合、
どうするか考えたことがありますか?

少しだけ条件をつけます。
蛇も蛙も圧倒的なスピードの差はありません。
ほぼ同じです。

蛇が食欲に負けて、蛙に飛びかかれば、蛙は跳んでくる蛇を見て逃げ切れます。
逆に、
蛙が恐怖のあまり先に跳んでしまえば、着地地点に蛇は襲いかかります。
つまり、先に動いた方が負けます。

いずれ心理戦が始まるでしょう。
あるいは、フェイントの応酬かもしれません。
蛇があきらめて立ち去るかもしれません。
こんな状況が剣道でも起こっています。
特に、年を重ねると圧倒的なスピードの差はなくなります。
経験の差になってきます。
どれだけ剣道の理合いを考えているかの差かもしれません。
スピードをつけることより、動きの無駄を削ることになるでしょう。

そんなことを踏まえての、
「右足を滑らせ入り、ぎりぎりまで手の動きを我慢すること」
です。