剣道 最近の自分の稽古10 小手の打ち方2

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小手の打ち方 その2

 

前回は、相手の剣先を上から越える方法でした。
今回は、相手の竹刀を下からくぐらせての小手を解説します。

 

その前に少し攻めのことを書きます。

 

「攻め」

攻めとはなんでしょう?

 

色々な人が攻めについて書いてみえます。

例えば、

攻めは「構え」だ。

攻めは「イメージ」だ。

 

私は子供達に「攻め」を説明するときに、

「自分が主人公になって相手を打つために、
僕がこうしたら相手はこうするから、こうやって打つ。
ということを考えてすることだよ。」

と説明しています。

「だから、相手が○○したらこう打つなんていうのは攻めじゃないよ。
自分がこうしたら、からスタートして考えるよ。」

なのです。「攻め」の言葉としてのイメージはこのようになります。

 

では、実際には「攻め」はどんなことをするのかです。

 

「攻め」の目的の一つは相手に「四戒」を起こさせることです。

「四戒」とは?

驚・懼・疑・惑、という心の中に起こしてはいけない四つの心の状態です。
順に説明すると、

1、驚(きょう)
驚くこと。
予想しない相手の動きに驚くと、混乱し適切な判断力を失い、時には茫然自失するときもあります。

2、懼(く)
恐れること。
恐怖の気持ちが生まれると、精神の活動が止まって、ひどいときには手足が震え、自由に動けなくなります。

3、疑(ぎ)
疑うこと。
疑う気持ちが起きると、相手を見定めることができず、自分の心にも決断が着かず、判断・動作ができなくなります。

4、惑(わく)
惑うこと。
惑うときは、精神が混乱して正確で敏速な判断や、即座の動作ができなくなります。

 

つまり、攻めによって相手にこれらの心の状態をおこすことです。

 

もう一つの目的は、相手に「虚」の状態を創ることです。
相手に「虚」の状態を起こさせ、それに対し「実」で打ちます。
「虚」とは、頭では自分の体の各部に命令していないのに、体が勝手に反応している状態です。

 

攻めをからめた小手を考えてみます。

初めに、上から落とす小手の場合。
一つの打ち方として、相手の竹刀を表から押さえ、
左拳を落とすことで自分の剣先を上に抜き、
相手の剣先が戻ろうとするところへ、右手を落として小手を打つ。

相手には押さえられた力に対して、戻そうとする力が働き、
それが本来の位置よりも行き過ぎてしまったところを打ちます。

2番目に、よく似た攻め口として、同じように表から押さえ、中心を取り、中心を取ったまま面を打つ。
3番目、2の要領で表から剣先を押さえ、そのまま面を打つ時、相手が面を避けようと手元が上がるところに、小手を落とす。
4番目、2の要領で面を打つ時、手元が上がるところに右胴を打つ。

全く同じ表から押さえてからの技が、多種多様にあるので同じ攻め口だからといって相手は予測が付かなくなります。
こうしたときに、相手は同じ攻めからの変化に「驚き」、「惑う」のです。

 

また、大きく押さえるだけでなく、竹刀の厚み分押さえることで相手に気づかれず押さえた状態を作り、左拳を落とすことで緩い押さえを解くと、相手が気づかない(意識しない程度)戻りが生まれます(相手の虚)。
「虚」の戻りに対して、こちらは「実」で右手を落とし小手を打ちます。

 

さて、「右手で竹刀を引っ張り上げて打つ」ことをしなくなると、とても打ちが速くなります。
「1拍子」の打ちに近くなります。

「1拍子」での打ちを実現するには、一つは「落として斬る」こと。

そして、もう一つ。
円運動で「斬る」ことです。

円の動きには逆方向への方向転換がありません。
ぐるっと回って打つ方向を変えても1拍子です。
気をつけることは、「刃筋」です。

円運動を利用して落として斬るのです。
そのとき「刃筋」を通す。

 

今回の下からの小手ですが、詳しく順を追って書いていきます。

お互いに中段の構えをとり、遠間から蝕刃の間合いへ、表で剣先を合わせます。
ここから一足一刀の間合いに入りますが、大きい足は使いません。
じわりと右足つま先をすべらせて間合いに入ります。
間合いに入っても右足は床に体重を乗せません。

右足が出るのに合わせて、剣先を相手の竹刀の真下に入れ相手から隠すようにします。
相手の竹刀の下に自分の竹刀を隠して、相手の鍔の下側を伺うようにします。

ここからいくつかのパターンに分かれるのですが、

1,相手にとって、こちらの竹刀がみえなくなり面ががら空きに感じ、ここぞと速い面で飛んでくるものがいます。この場合には、あらかじめ面に来る事を予想しているので、出小手または面返し胴を打ちます。
こちらの面をがら空きにして、竹刀を隠してしまうのですから面に自信のあるものであれば、当然の打ちです。

2,相手がそのまま動かない。
なにか、罠があるような気がして警戒して何もできないところです。
ここで、相手の竹刀に自分の竹刀を巻き付けるようにして巻いて小手を打ちます。
注意することは、平打ちにならないこと。
小手を打つときには必ず刃を下に向け刃筋を通して打つことです。

3,こちらの竹刀を押さえる、又は上から叩く、押さえての面を打ってくる。
このときは、相手の竹刀が下向きの動きをするわけですから、下に向かって動き始める時を狙って、こちらは相手の押さえをかわして面に行きます。
相手に逆方向の動きをさせ、そのとき打ちます。
これは、相手の下段に入れたとき以外にも使える攻め口で、相手がこちらの竹刀を押さえに来るとき、払いに来るときに応用できます。

 

小手の打ち方といいながら、「攻め」の説明になりました。