剣道 最近の自分の稽古11 胴の打ち方

剣道 最近の自分の稽古11 胴の打ち方

面、小手ときまして、次は胴の打ち方です。

 

面にはこだわって最高の面打ちを目指しておられるかたは多いと思います。
審判を見ても、面は何となく雰囲気で当たったかどうか怪しい打ちでも旗を上げるのに、全く胴には旗を上げないという場面に出会います。
引き技を一切上げないかたもみえます。

試合で一本に取るべき打ちであっても、人によっては全く旗を上げないのが胴です。

「自分の打てない技は一本として取ることができない。」
ということがよくいわれます。
つまり、胴の打てる人が少ないということです。

引き技についてもこれはいえます。
引き小手と引き胴が取れない先生が多いように感じます。

 

「胴」という打突部位について考えるのですが、

胴を斬るという技は刀を持った実戦では、あまりなかったのではないかということを。

胸部には肋骨があり骨が肺を守っています。

しかし、胴言い換えると腹部は筋肉のみで骨には守られていません。

鎧の胴が有る状態は守られていますから、戦国時代には胴部を斬るということはできませんでしたし、面や小手にも同じ事がいえます。

面には頭蓋骨があり、小手には橈骨(橈骨)・尺骨があります。
骨もろとも斬るということが必要になります。

ところが、胴(腹部)には骨はないので、振る刀には勢いは必要有りません。
刃が触れたところで押せば、ズブリと入っていきます。
最も柔らかいところを斬るのです。

大振りをする必要などなく、突けばズブリと・・・
胴を「斬る」ということはなかったんじゃないかと思います。

 

 

 

さて、具体的な胴の打ち方です。

「胴は前で打つ。」

「コンパクトに打つ。」

「すり足で打つ。」

この3点がミソになります。

 

胴を打ったときの姿は、両脇を締め左拳は構えの位置(脇が締まり拳が下がり胴に両肘が密着する)で、柄を持つ左手はすべらせて右拳につけ、相手の右胴を打ちます。

このとき竹刀を持っていることを忘れたほうがうまく前でコンパクトに竹刀を回すことができます。
竹刀を振るイメージがあると、どうしても大振りになり大きな軌跡を描こうとします。

これでは素早い胴打ちはできません。

どうすればいいか?
竹刀を持っていることはどこかにおいといて、5cmのカッターナイフで相手のおへそを切る。
そんなイメージを作ると竹刀がコンパクトに扱えます。
もう一つ、胴打ちの練習は、胴を二回切るようにします。
二回切るとは、逆胴・右胴の二回切ることです。

前で打つ、コンパクトに打つ、すり足で打つ
この練習をどうやってするか?

自分ひとりで行う場合は、

空間打突でイメージを作ります。

1,構えた姿勢。

2,構えたまま右足を前方すべらせながら攻め入ります。

3,30~40cmほど右足を前方に滑らせたら、軌道を右前に変えます。

4,右足の進む方向を右前に変更したら、足を着くタイミングで逆胴を斬ります。

5,右足を着いたら上に伸び上がりながら素早く左足を引きつけます。
左足を床に着くタイミングで右胴を斬ります。

6,竹刀操作のこつは、竹刀を持っていることを忘れること。
5cmのカッターナイフで相手のおへそに×印を書くつもりです。

 

相手がいる場合

相手がいる場合、練習方法は二通りに分けます。

 

一つは相手が位置を動かない場合です。

基本的に行うことはひとりで行う場合と同じです。

1~3は全く同じで、

4,足を突くタイミングで相手の逆胴を斬るのではなく、鍔を斬ります。

5,相手は鍔に竹刀が当たったタイミングで両手を上げ胴をあけます。
このとき左足を素早く引きつけながら右胴を斬ります。

6,のコツは同じです。

この練習は相手に面を打たせ、抜き胴を打つ練習になります。

相手の鍔を右から叩く動作は、一歩入りながら竹刀を一度右に開くことになるので相手にとっては面ががら空きに感じられます。

相手ががら空きの面を打つ、そこでコンパクトに胴です。

 

 

二つ目は相手が面を打ってくる場合です。

1,構えた姿勢。

2,構えたまま右足を10cmほど前方に滑らせたところで、相手は小さく早い面を一歩踏み込んで打ちます。

3,右足の軌道を右に変えます。

4,右足の進む方向を右に変更したら、足を着くタイミングで逆胴を斬ります。

5,右足を着いたら上に伸び上がりながら素早く左足を引きつけます。
左足を床に着くタイミングで右胴を斬ります。

6,のコツは同じです。

この練習は返し胴を打つ練習になります。

逆胴・右胴と斬るよりも応じ返して胴のほうがはるかに楽に打てます。

返すときに頭上まで手元を上げなくても、相手の面を応じ返すことができます。

 

胴打ちは以上です。

剣道 最近の自分の稽古4 必ず自分から先をとって攻めること

剣道 最近の自分の稽古4 必ず自分から先をとって攻めること

 

こんな方にお勧めです。

大人になってから剣道を始められたかた。
中年の剣道愛好家のかた。
女性の剣道愛好家のかた。
五十肩の剣道愛好家のかた。
膝が痛い剣道愛好家のかた。
体力に自信がないけど剣道をやりたい、やっているかた。
永く剣道をやりたいかた。
今の自分の剣道に行き詰まっているかた。

 

必ず自分から先をとって攻めること

 

この気持ちを説明するにはふたつの言葉を整理しないと分かりません。
一つ目のキーワードは、
「先」
です。

三橋秀三先生の「剣道」にわかりやすく説明されていますが、それをさらに簡潔に説明してみます。

「先」の考え方には二通りの考え方があります。

まず、日本剣道形の「先」についてです。
剣道形における先は、「勝つ機会」のことを言っていて、「先先の先」と「後の先」があります。

もう一つの「先」は宮本武蔵の教えです。
宮本武蔵の教えでは、先は勝つ技術としての技を言い表しています。
「先先の先」、「先」、「後の先」があります。

剣道形での、
「先先の先」は「読み」による勝つ機会(1~3本目、5本目)。
「後の先」は「反射」による勝つ機会です。(4、6、7本目)。

宮本武蔵のいう、
「先先の先」は仕掛け技。
「後の先」は応じ技。
「先」は相打ち。

剣道形の考え方では、同じ技でも「先先の先」であったり、「後の先」であったりします。例えば出端面を打つ場合。
相手が面を打ってくるであろうことを「読んで」打った場合は「先先の先」。
相手が面に来ることを予知できていないうちに相手が面に来た、反射的に思わず打った面は「後の先」。

私の
必ず自分から先をとって攻めること
というのは、「読んで」打つほうの「先先の先」を意識しています。
反射で打つ「後の先」は意識して読んでは打てません。

そうはいっても、実は「後の先」も意識して使っています。
もう少し深い説明が必要なので、この辺はまたの機会になります。

もう一つのキーワードは
「攻め」
です。

「攻め」という言葉を使うとき、広い意味での「攻め」また、「攻め方」としての「攻め」の二通りの考え方になります。

はじめに広い意味での「攻め」についてです。

「攻め」とは?
と聞かれてあなたはどう答えますか?

相手の竹刀を押さえること。
中心をとること。
突きに向かって竹刀を出しながら一歩入ること。
色々あるでしょう。
それぞれも攻めには違いありませんが、それらは「攻め方」の範疇になります。
これは、またの機会に譲ります。

私の考えている「攻め」は、剣道形における「先先の先」を意識した「攻め」になります。ある先生は、
「攻め」とはイメージだ。
とおっしゃいました。
意識がイメージとなって相手を脅かすことだと。
それが攻めだということでした。

また、ある先生は
「攻め」とは構えだ。
私は剣先10センチの幅で相手を制し、打たれない。
ということでした。

私は「攻め」とは、
自分が主人公になり、自分の動作に対し相手がどう反応し、
それに対し自分がどうやって対処するかを考えて行動すること。
そう考えています。

「先先の先」の意味する「読み」の部分を意識しています。
もう一つのポイントは、自分が主人公であることです。

相手がこう来たら、からのスタートはあり得ません。
あくまで、自分がこうしたら、から始まります。

このふたつを合わせた
「必ず自分から先をとって攻めること」
を意識しています。